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なぜ江戸時代の書を読むべきなのか


江戸時代の書をお勧めする訳

昨今の歴史ブームで、日本の歴史に興味を持つ人が増えてきました。しかし今日私達が知っている歴史は、次の二つの歴史観によって歪められています。
薩長史観
江戸時代は暗黒の時代で、明治維新によってすべてが良くなった
GHQ史観
戦前は暗黒の時代で、日本の敗戦によってすべてが良くなった
今日のほとんどの歴史書はこの二つの史観に基づいて書かれているので、どんなに歴史を勉強してもこれらの史観から逃れることはできません。今日の学者が江戸時代の学者を見下したような態度で語るのも、これらの歴史観あってこそです。

これらの史観から自由になるには、二つの史観の影響を受ける以前、つまり江戸時代の書(江戸時代について書かれた本ではなく、江戸時代に書かれた本)を読むことです。すると江戸時代の日本が、決して今日の日本から遠く離れたものではなく、連続していることが分かります。その時、この二つの史観はまったく不要になります。

本居宣長をお勧めする訳

本選集の主人公・本居宣長は、外国の文化を輸入する以前の日本人の言葉や考え方について生涯をかけて研究した人物です。彼は、日本人が外国から輸入された「からごころ」に侵され、日本人が本来持っていた「やまとだましい」を忘れていると言っています。これは現代にも通用するものです。

また日本のように、国家と王朝と宗教が不可分で、建国以来の王朝が今も続くような国は世界に例がありません。宣長が研究した『古事記』は我が国の建国神話の書ですが、建国の事実が古伝説の中にあって、その年代や日付に諸説あるというような国も日本以外にはありません。ところがこういうことを今日の学校教育は教えませんから、自分で勉強するしかありません。

現代語訳選集をお勧めする訳

さて本居宣長の著作はとても平易で読みやすいものですが、古文で書かれているために現代人には気軽には読めません。一方彼について書かれた解説書の類は、なぜか非常に難解なものが多いのです。

ではどうすればいいかと言いますと、彼の著作の忠実な現代語訳を読めばいいのです。 【現代語訳】本居宣長選集は、原文に忠実かつ自然な現代語訳をほどこし、随所に簡潔な注釈と参照を加え、現代人が効率的に宣長の著作を読み進められるように工夫を致しました。

[2012/6/12]