玉くしげ(現代語訳本居宣長選集 第1巻)
第1巻 改訂版 玉くしげ - 美しい国のための提言(品切れ)
世は天明の大飢饉の真っ只中。金銀の運用で巨利を得る富豪の一方で、 相次ぐ増税に苦しめられる庶民、拡大する貧富の格差、蔓延する賄賂、 地方の破綻、求められる行財政改革。まるで平成の世を思わせるような 封建社会末期に、宣長の示した処方箋とは。古神道の根本を余すところなく述べた 「玉くしげ別巻」、「直毘霊」も収録。
- 玉くしげ
- 紀州藩主の求めに応じて藩の政治の心得について述べたもの(政治経済論)
- 玉くしげ別巻
- 政治の根本となるべき「まことの道」について述べたもの(古神道論)
- 直毘霊
- 同じく古神道論。『古事記伝』の中の一編
目次
玉くしげ 上
- 眼前の利益を思うなら根本から
- 儒者気質の意外な落とし穴
- 唐土の道には根本的な間違いがある
- 唐土の道も利用すべきこと
- 道の根本こそが大切
- 世間の人々の身持ちが重々しくなっていること
- 身分を重々しくすることの弊害
- 昔はもっと質素であったこと
- 困窮しないための武士の心がけ
- 苛酷な百姓への重税
- 百姓へのいたわりこそが大切
- 百姓も贅沢になっている
- 一揆の原因はお上にあり
- 一揆対策で留意すべきこと
- 贅沢が困窮を引き起こす
- 贅沢は天下の損
- 広がる貧富の格差
- 金持ちだからと言って無理やり取り上げてはいけない
- 武家と商人との関わりはほどほどに
- 人は身分相応が一番
玉くしげ 下
- 金銀が得難いのはむしろ金銀が多いから
- 金銀の流通がもたらす弊害
- 新規のことを性急に推し進めてはいけない
- 行財政改革に当たって留意すべきこと
- 上と下の隔たりが大きいことによる弊害
- 身分の低い人の意見にも耳を傾けるべし
- 余りに重いお咎めはよくない
- 一国の政治は一体となって行うべし
- 役人は互いに監視させるべし
- 賄賂の弊害と対策
- 訴訟事は長引かせるべからず
- 刑はなるべく緩やかに
- むやみに法律を改正しないこと
- 上の命令は確固たる姿勢で
- 御勝手方の目に余る行為
- 無益な代々のお召し抱えは見直しを
- 武士は常に実践的であるべし
- 武士は日頃から軍談の書を読むべし
- 日本人は唐土を過大評価している
- 朝廷を深く崇拝するべし
- 全国の神社を盛大に祭るべし
- 神事に関するとんでもない勘違い
玉くしげ別巻
- まことの道は世界に一つ
- 万物の生成と天壌無窮の神勅
- 古伝説を外国風の理屈で解釈してはならない
- 皇国は万国の元本大宗の国
- 外国の小賢しい考え方に惑わされてはいけない
- ものの尊卑は形の大小によるものではない
- 外国風の表面的な理屈で皇国をおとしめてはならない
- なぜ善いことと悪いことが起こるのか
- 人は死ぬとどうなるのか
- 唐土の道は人が都合よく作り上げたもの
- 皇統は揺らぐことはない
- 道に適った徳川家康の政治
- ものごとをむやみに改めてはならない訳
- ものごとを成り行き任せにしてはならない訳
- 善神も悪神も畏れ敬うべし
- 道の神髄は神の御心のままに天下を統治すること
- 大らかに人々を許すことを神はお喜びになる